一昨日の晩、急にお腹を壊した朝陽。今はだいぶ回復したようだが、結局何が原因だったのだろうか。
朝夕はメンバー全員、同じものを食べているが他の四人は何ともない。蛮に合わせて食べ過ぎたのか、それともリュカの実験台にされたのか。
心配したラビが、今日も寝室まで朝陽に付き添っていた。
「ご、ごめんなさい、ラビさん……オレ、元々プレッシャーに弱い方なので……たぶん、映画のクランクインが近付いて、それで緊張しただけだと思います」
お腹を下した以外に体調が悪い訳ではない。それなのにラビは、まるで重篤患者を看病するような面持ちでベッドに身を寄せている。
それが返って申し訳なくて、朝陽はベッドの上で眉根を下げていた。
朝陽にとっては初の映画出演。それも主演という大役を任されて、確かに心労もひとしおだろう。そのせいで体調を崩したとしても無理はない。
ラビも納得した素振りは見せるが、まだどこか朝陽の身を案じている様子。ラビにそんな表情をさせているのかと思うと、朝陽はまたお腹が痛む思いがした。
「ほ、本当に……もう、大丈夫ですから。その……ラビさんが、オレのためにお粥を作ってくれたので、治るのも早かったですし」
無理をしてでも笑おうとする。眉間や頬に余計な力が入った、下手くそな笑顔――それを瞳に映しながら、ラビが朝陽の頭を優しく撫でる。仕方ないな、というような苦笑を浮かべて。
「あ……」
頭の上に乗せられた、ラビの大きな手。いつだって朝陽を安心させてくれた魔法の手。昨日、一昨日と新たな魔法を見せてくれたことを思い出した。
「それに……ラビさんが……お、お腹を撫でて……くれましたし」
両頬を桜色に染めながら、ポツリと打ち明ける。ラビにお腹を優しくさすってもらうと、本当に楽になった。身体だけでなく、気持ちの面でも。
そのことを思い出しながら、嬉しくて少し恥ずかしくて……そういった想いが朝陽の表情に現れているのを見て、ラビも素直に破顔した。
「うん……よかった、朝陽の役に立てたみたいで」
「そ、そんな……ラビさんは、いつだってオレを助けてくれてます」
本人が考えている以上に、ラビの手は凄い力を持っていることを朝陽は知っていた。大きくて武骨で、けれども温もりと労わりに満ち溢れた癒しの手。
その手に朝陽がどれだけ励まされ、どれだけ勇気づけられてきたことか。それを思うと、ラビにはもっと自信を持ってほしかった。
臆病な自分が言うことではないかもしれないけれど、ラビの愛に支えられてきた朝陽の目には、自信満々のラビしか映ってほしくなかった。
せっかく微笑みと恥じらいとで染まった朝陽の顔に、また影が差す。そうなる前に、ラビの唇がそっと触れてきた。
「んっ……」
柔らかな弾力と、上ずった甘い声。確かに、身体も内面も健康そうだ。
（……これなら、キス以上のことをしても平気かな？）
朝陽の顔を曇らせないためにした行為なのに、期せずして朝陽の具合を確かめることも出来た。
正直なところ、ラビの欲求不満も溜まっていた。看病している間は、キスも抱きしめるのもずっと我慢していたからだ。
ほんの二日ほどではないかと言われればそうなのだが、目の前に朝陽自身がいるのにお預けを食わされればムラムラもしよう。
堪らずに抱きしめる細い肢体。パジャマ越しにでも身体のラインが分かるのは、何度も抱きしめてきたラビだから。
首筋から漂う柔らかな匂いを吸い込んで、綺麗な鎖骨に口付ける。
「ん……ラビさ……」
控え目にラビを呼ぶ声も飢えていた。お腹をさすってもらうだけで終わりにしないで、力強く抱きしめてキスしてほしいと訴えかけていた。
朝陽自身にはそんなつもりはないだろうが、無意識の内に零れ出た甘い声は、ラビを挑発するには十分だった。
「朝陽も……待ちきれない？」
「や……」
至近距離ではっきり言われると、火が出るような恥ずかしさが込み上げてくる。顔中を先ほどよりも更に真っ赤にして、ラビから視線を外して睫毛を揺らす。
恥ずかしがってはいるが、拒んでいる訳ではない。朝陽の気持ちを汲み取って、ラビが優しく朝陽の身体を押し倒す。
完全にベッドに背中を預けさせると、パジャマの裾をそっと捲し上げる。ピンクと赤のストライプ柄のパジャマは、可愛らしい朝陽によく似合っている。そこから覗かせる白い肌を、より魅力的に彩る演出も兼ねていた。
パジャマをめくって現れた、小さな可愛いおへそ。そこを中心に、脂肪も筋肉も付いていない滑らかな腹部が呼吸に合わせて上下する。
手の平を乗せてみれば、かなりの熱を帯びている朝陽のお腹。それは炎症を起こしているためではなく、期待と緊張に胸を高鳴らせているためだ。
昨日までは、腹痛を和らげるために優しい手つきを心掛けてきた。調子も戻った今なら、朝陽の快楽を引き出すような触り方も許されるはず。
「ほら、言ってごらん？ オレに触って欲しかったのは、ここなの？ それとも……」
「ひゃっ……ラ、ラビさん……っ」
指先で弄ぶように、朝陽の柔らかいお腹を刺激する。くすぐったいのか、身をよじらせて耐えようとする朝陽。
単にくすぐったいだけでないのは、零れる熱い吐息や腹部より下の膨らみからラビにも分かった。
「……やっぱり、こっちも触ってほしかったんだね？」
「う……うぅ」
ラビの手が、パジャマのズボンの中へと侵入していく。反論も抵抗も出来ず、ジッとして受け入れる朝陽。下着のゴムが引っ張られ、ゴツゴツした指が直に触れてくる。
小さいながらも硬くなり始めた朝陽をゆっくりと撫でながら、ラビの妖しい笑みが朝陽の赤面を見つめる。
「いいよ……オレも触りたくて仕方なかった。朝陽のまだ可愛いココに触れて、指先で剥いてあげて、それから……ねぇ、朝陽はどうしてほしい？」
「っ――」
そんなこと、朝陽に言えるはずがない。そうは言っても、朝陽も年頃の男子であり人並みに性欲だってある。ラビとの行為を重ねることで、そっちの知識も増えてきた。
言葉に出来ないまでも反射的に思い浮かぶ、情事のアレコレ……唇をわなわなと震えさせ、頭がくらくらするほどの熱を覚える。
答えられないでいる朝陽に代わって、ラビがクスリと笑いながら下着ごとズボンを下ろす。
「ふふっ……小っちゃくて可愛い朝陽のココ。見た目はまだ子供なのに、大人みたいに上を向いちゃってる」
外気に晒された朝陽の下半身。白い皮に覆われた、細くて小さな朝陽の大事な部分が丸見えとなる。
ホワイトアスパラガスにでも例えるのが妥当なそれに顔を近づけて、ラビが鼻から深く息を吸い込む。
「朝陽の匂い……ミルクみたいに甘い匂い、すごく美味しそうだよ。口に含んで舌先で味わってもらいたがってるのかな？ それとも、こうしてイジってもらいたがってるのかな？」
包皮の上からでも微かに分かる、くびれの部分。そこを指先で摘みながら、軽く上下に擦ってみる。
ラビの指の動きに合わせて、朝陽の腰までもがヒクヒクと動き出す。息遣いも速くなっていき、もう限界が近そうだ。
ご無沙汰だったのは朝陽も同じ。ずっと我慢して待ち続けていたラビからの愛撫を受けて、白い欲望を抑え付けておくのは無理がある。
「んんっ……はぁっ、ラビ……さん！」
喘ぎ声の合間にラビを呼ぶ声があまりに切なくて、朝陽に余裕が無いことがラビにも窺えた。
ピタッと指を止めると、イタズラを思いついたように目を細める。
「まだ、ダーメ。二人とも我慢してたんだから、一緒に気持ち良くなりたいな」
もう少しで果てられるところだったのに、寸前で止められてしまった。それでもラビの口から聞かされた「一緒に」というフレーズに胸は温まる。
自分だけが気持ち良くしてもらうだけでは、本当の喜びは得られないことを朝陽も知っていた。
ラビにも、自分の身体で気持ち良くなってもらいたい。そういった想いから、朝陽が腰を少しだけ浮かす。
大人しい朝陽にしては大胆な行動に、ラビも思わず生唾を飲む。誘われるまま深いところへと顔を近づけて、より強い匂いを吸い込む。
快楽の深淵――二人にとって、一番強く結ばれていることを実感できる箇所へとラビが手を伸ばす。
「いい子だね、朝陽……そのまま、もう少しだけ腰を上げてて」
体勢を維持する朝陽が苦しくないよう、自らの左手をベッドと腰の間に差し入れるラビ。空いている右手で、朝陽の身体の柔らかい部分をなぞっていく。
「んっ……ふぁ……」
触れるか触れないかという絶妙な指使いに、朝陽の腰がびくんびくんと跳ねる。勃ち上がりっぱなしのものも左右に揺れて、無意識にラビを誘惑する。
徐々に徐々に、中央へと向かっていくラビの指先。目指す愛の粘膜は、まるで生き物のように口を閉じ開きしてラビを待ち受ける。
緩やかな刺激に身体を震わせながら、朝陽自身、早くラビを受け入れたいと思っていた。
そして、いよいよラビの指が熱い入口へと辿り着く。
「…………」
そこに指先を当てたところで、何故かラビが動きを止めた。少し思案して、それから労りの眼差しを朝陽へと向ける。
「……今日はまだ、こっちを使うのは止めておこうか。無理をして、また体調を崩したらいけないしね」
「え……でも、それじゃ……」
ラビは満足できないのではないか……そう口にしかけたところで、何かを思いついたようなラビの視線と目が合う。
「ふふ、大丈夫。朝陽もオレも、一緒に気持ち良くなれる方法は他にもあるからね」
「えっ……？」
不思議そうに聞き返す朝陽に微笑み掛けてから、朝陽の腰の下に入れた手を背中の方へと移動させて朝陽の身を起こさせる。
ベッドの上で座り込んだ状態で向き合うラビと朝陽。いつしかラビもズボンを下ろして、猛々しく勃ち上がったものを晒していた。
ごくり、と息を呑みながら凝視してくる朝陽の視線。期待からなのか、それとも恐れからなのか。黙って見つめられることで、ラビの昂りはますます熱を帯びていく。
膝を寄せ、朝陽の細い腰を抱え込むようにして引き寄せる。朝陽の方も、戸惑いを見せつつもラビに協力する。自分から腰を浮かせて、ラビの太腿の上へと跨った。
「……朝陽、キスしよう」
行為の前に宣言してくるなど珍しい。少しだけ気恥ずかしい想いで頬を染めながら、瞳を閉じて唇をすぼめる。
ちゅっ……と、触れ合う柔らかな唇と唇。ほぼ同時に、下腹部の熱も触れ合っていた。
「んん……」
灼けるようなラビの昂りが、幼い朝陽に直に触れてくる。奥から何かが込み上げてくる感覚に、朝陽が塞がった唇の間から声を漏らす。
朝陽の反応があまりに可愛くて、ラビも思わず顔を赤くさせる。唇を離して、はにかみながら朝陽の瞳に囁きかける。
「こっちも……キスしちゃってるね」
快楽でまどろんでいた琥珀色の瞳が、一気に見開かれる。ラビの言葉が何を指しているのか悟った瞬間、身体中を恥ずかしさが駆け抜けていく。
ラビに顔を見られたくなくて後ろへ飛び退こうとするが、動きを読んでいたラビの手に阻まれる。片手は朝陽の背中を押さえて引き寄せ、もう片方の手で触れ合う熱い部分を包み込む。
「あぁ……す、ごい……」
単に触れ合うだけでなく、ラビの手で包まれることでより密着していく二人の秘部。大きさはまるで違うが、感じる悦びは等しく共有できていた。
蕩けるような熱と相まって、二人のものが本当に一つに溶け合ったようにさえ思える。ラビの感覚さえも直接伝わったように思えて、浮かんだ言葉が朝陽の口から自然と出る。
その朝陽が発した言葉を、ラビがイジワルそうに聞き返す。
「ふふ……何がすごいの？」
「んっ……そ、れは……」
具体的なことまで口にするのは、流石に朝陽の羞恥心が許さない。小刻みに震える唇を尖らせて、心の中でラビを責める。
ラビだって分かってるくせに。自分の腰に伝わってくる感覚は、ラビだって同じように感じているくせに。
いつもは優しくて甘えさせてくれるラビなのに、夜の顔はイジワルな面も持っている。それが嫌だという訳ではないが、恥ずかしがり屋の朝陽が慣れるにはもう少し時間が掛かりそうだ。
「……こうしてると、気持ち良いんだろ？ オレしか聞いてないから、声を出しても大丈夫だよ」
自分のと一緒にゆっくりと扱きながら囁き掛ける。朝陽にも自分の快楽に素直になって、乱れる姿を見せてほしいから。
照れてる朝陽を見るのも可愛いけれど、どうせなら仲良く感じ合いたい。正直に言えばラビの方も余裕がある訳ではなく、実力行使で朝陽の本音を引き出すことにする。
「ん、あっ……！」
キュッと握りしめられて、強い刺激に朝陽が身をよじる。そのままラビが拳を下ろしていくと、朝陽の白い皮が剥かれてピンク色の先端が遠慮がちに顔を覗かせる。
本人と同じく恥ずかしがり屋な朝陽のそこは、頭を出した途端に透明の蜜を口から零していった。
二人の擦れ合う部分に甘露が伝わっていく。ラビが手を動かす度にいやらしい水音が響き、触れ合う感触のみならず耳からも興奮を覚える。
「ん……んっ、朝陽……感じるだろ？ いっぱい、声出していいよ」
「やぁ……恥ず、かしい……です」
素直になれない言葉とは裏腹に、間近で見つめる真っ赤な顔は、気持ち良くて仕方がないといった具合に蕩けきっている。
朝陽だけでなく、ラビの方も秘部に訴えかけてくる快感に耐えきれないようだ。乾いていた時より滑りも感度も段違いに良くなって、身体の内側から滾っていく。
もっと、もっと感じたい――際限の無い欲望は、より淫らな行為へと発展していく。ラビが少しだけ俯いて、唾液で濡れた舌を出す。
伸ばした舌先を伝わせて、直下で待つ二人の熱いものへと銀糸を垂らしていく。更にぬめりを増した二つの突起は、硬さを保ちながらも半ば溶けたように互いに絡み合う。
「はぁ……っ……ラ、ラビさんの……すごく、硬くて……あ、熱い、です……っ」
堪らず朝陽も吐露する。下半身から脳へと届く悦楽に羞恥心が折れ、思うまま感じるままに口にする。
ラビにとっては、聞くだけで胸がときめく朝陽の声。その声で艶めかしい言葉を聞かされれば、どんな媚薬よりもラビの昂りを加速させた。
「っ……朝、陽っ……オレも、気持ち良いよ！ 朝陽と一緒に、良くなってるっ」
「は、はいっ……ラビさんの良いの……つ、伝わって……ますっ」
いつしか朝陽の両手はラビの肩に置かれ、弾んだ吐息がラビの首元へと絶え間なく吹き掛けられる。
赤く実った唇が目の前で揺れる様に我慢が出来ず、ラビが吸い付くようにして朝陽の口を塞ぐ。
上と下、両方からの快感に全身が震え、朝陽はラビに握られたまま限界を迎えた。ぶるぶると震えながら熱い飛沫を吐き出して、ラビの手を汚していく。
密着した裏筋に朝陽の絶頂を感じ取って、呼応するかのようにラビも果てる。解き放たれた迸りは、朝陽以上の勢いを見せて自身の手の中に白い海を作り出した。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
僅かに離された二人の唇の間で、激しく繰り返される呼吸。二人が全力で愛し合ったという証拠。それは口から出る息だけでなく、秘部から放った奔流も物語っていた。
二日も溜まっていた二人分の量は想像以上で、ラビの大きな手にも収まらない。握りしめた拳の指と指の隙間から熱いものが溢れ出し、獣のような匂いが充満していく。
溜め込んでいた欲望を解き放ってもラビの猛りは萎えることなく、依然として硬さを保っていた。白濁とした潤滑油をまとわりつかせて、密着する朝陽の熱を使ってなおも摩擦を繰り返す。
「あぁっ！ ん、んっ……！」
ただでさえ感じ易い箇所が、果てたばかりのせいでより敏感になっている。ラビの手と大きなラビ自身とで挟まれては、全く逃げ場が無い。
くちゅくちゅと鳴らして白い泡ぶくを生み出していくラビの手つきに、朝陽は文字通り腰が抜けるほどの刺激に襲われていた。
「あ、あんっ……ふぁ、あんっ！ ラ、ラビさっ……も、もう……っ」
二度目の限界を早くも感じる朝陽。込み上げる欲情だけでなく、腰全体に響くむず痒さにも喘ぐ。ぬるぬるとしたラビの手で搾られる快楽と、敏感になり過ぎている自分の身体への恐怖とがせめぎ合い、叫んでいないとどうにかなりそうだった。
「朝陽……まだ、出し足りないだろ……？ 朝陽の、全部欲しいんだ！」
朝陽が感じている恐怖は、ラビにも読み取れた。それを怖がることなく受け入れてほしいと、手を休めることなく自分と朝陽を扱く。
先に出されたものと、新たに先端から滲み出してきたものとが混ざり合い、卑猥な音がベッドの上で掻き鳴らされる。喘ぎ続ける朝陽の声は、それ以上にラビの胸に響いていた。
「あぁん！ ダメ……また、オレ……や、ああぁぁ、んっ！」
「っ……いいよ、イッても……オレ、も……ああっ！」
再び絶頂を迎えて果てる。今度は、二人同時に熱いものを飛び散らせていた。一回目よりも吐き出した量は少ないが、余すことなく出し切った達成感があった。
それは即ち、妥協することなく愛を貪り合ったということ。身体を覆う気怠さも、満足感の方が上回って心地良く感じる。
痙攣しながら最後の一滴まで出し切ろうとする大きなラビと、先に萎えて白い海に沈み込む小さな朝陽。それは、そのまま本人たちの姿と重なった。
ラビの肩に手を置くだけでなく、厚い胸板に完全に身体を寄り掛からせて息を弾ませる朝陽。その朝陽を優しく見つめ、ゆっくり休ませようと細い背中をさするラビ。
激しく行為に没頭するのも全力。こうして相手を信頼して身を寄せるのも、相手を深く労わるのも本気の愛――全力で愛している証拠。
二日ほど行為に及ばなかっただけで、こんなにも相手を求めていたことに二人とも気付かされた。こんなにも深く愛しているのだから、それを身体全体で表したい。自分の愛を全力で相手に伝えたい。
「はぁ……はぁ……ラビ、さん……」
息を整える暇も惜しんで、顔を上げた朝陽がラビの名前を呼ぶ。とろんとした眼差しは艶めかしく、ラビとのキスを求めていた。
ラビからの愛を欲しがるだけでなく、ラビへの愛を伝えたいという朝陽の想い。その想いに、ラビもすぐさま応える。
朝陽の甘い唇を塞ぎ、彼の名前を呼びながら舌を絡めていく。ラビもまた、自らの燃える愛を朝陽に伝えたくて仕方なかった。
欲望の全てを出し切っても、なお愛し合い足りないラビと朝陽。互いに互いを抱きしめながら、熱い口づけを交わし続けていった。
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